阪神淡路大震災20周年に寄せて - Japan Expo 2014 出品作品 「鳳」 (おおとり)

松もとれ、街がどことなく晴れやかになる成人の日を過ぎた、今日1月17日は、阪神淡路大震災のあった日で、今年はその震災から20周年にあたります。 
 
Shorinは当時まだ大阪に住んでいて、自分も大きな揺れを感じ、幸い私は身内も友人もみな無事だったのですが、経験したことのないあまりにも大きな災害の、そのむごさにただただ大きな衝撃を受け、その後自らのあり方や考え方を大きく変えることになりました。
  
20年と言うけれど、そして震災のその日を知らない子が成人するほどの長い時間のように思えるけれど、一方で、20年という歳月が、犠牲になった方とそのご家族、あるいは人生の大切なものを突然失った方にとって、その悲しみを消し去るに十分な時間であろうはずがなく、その苦しみの深さを思うと、まことに心が痛みます。 

神戸の震災の直後は、「あんなに大きな地震を体験したのだから、わたしが生きている間に、それを超える規模の災害に遭うことはもうないだろう。」と心のどこかで思っていたような気がします。 しかしその後、残念なことにそれをはるかに超える巨大地震が、日本を襲いました。 そしてそれからも毎年のように、その他のさまざまな災害にも見舞われています。 そのたび、神戸の震災の際に受けた心の衝撃を思い出し、被災地の人たちの困難を思い、その地の為に祈らずにはいられません。 

写真のお作品は、そのことを思いながら書いたもので、 「鳳凰」(ほうおう)の「鳳」- "おおとり" です。 ( ※ 昨年の Japan Expo 2014 出品作品です。) ご存知の方も多いことと思いますが、この中国の伝説上の鳥は、すべての動物の長、平和な世にのみ姿を現し、この鳥が飛ぶときにはその徳により地が治まり、雷も嵐も起こらず、河川も溢れず、草木も揺れないという伝説が伝えられます。 

そんな平和をもたらす尊い鳥が、弦を張った弓のような美しい形をしたこの日本の島々の上を飛んで、災害のない、穏やかな一年になってくれたらいいな、と思い、お正月から飾っているお作品です。 

あらためまして、阪神淡路大震災東日本大震災をはじめ、さまざまな災害の被害にあったみなさまに、心からお見舞いを申し上げます。 
いまだに復興の道のりはあまりに遠く思われ、その難しさに誰もがため息をつきたくなるけれど、多くの人は決して被災の地を忘れておらず、多くの人がそれぞれ自らにできることを行い続けています。 いまだに困難な状況にある方々も、どうかそのことを知り、前向きな気持ちをお忘れにならず、よりよい将来に向けて、それは時に、もしかすると難しいことかもしれないけれど、たとえ少しでも歩みを進めて頂きたいと、こころから祈っています。

最後になりましたが、今回の作品も、師匠である 書美院 院長 内野七色 先生の ご指導のもと、先輩後輩諸氏の激励、アドバイスのお陰で作成できたものです。 また、お世話になりました Japan Expo 関係者の皆様にも合わせて、心から深く御礼申し上げます。 今後とも、よりよいお作品を見ていただけるよう、精進する所存です。 ご指導、ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。