東京書作展選抜作家展 2017 【出品作品】  「諸葛孔明 戒子書」

東京書作展選抜作家展 2017 出品作品 「諸葛孔明 戒子書」 です。

去る二月末、Shorinは昨年の東京選抜作家展のエキシビション的な位置づけの書道展となる、「東京書作展覧会 選抜作家展」に出品させて頂きました。 

今回のお作品は題材選びに時間がかかったのですが、いろいろと考えて、諸葛孔明の ”戒子書” を選びました。 諸葛孔明というと ”出師表” があまりにも有名で、そちらもチャレンジしたかったのですが、あまりにも長すぎ超大作になりそうなため、別の機会の楽しみに置いておくことにしました。 

”戒子書” は諸葛孔明がその息子の思遠を戒めて書かれたもので、いまでもその子孫の住む村(諸葛鎮)の大公堂に保管されているのだそうです。 内容は下記のとおり

夫君子之行 静以修身 倹以養徳
非澹泊無以明志 非寧静無以致遠 
夫学須静也 才須学也 
非学無以広才 非志無以成学 
滔慢則不能励精 険躁則不能治性
年与時馳 意与日去 遂成枯落 多不接世
悲窮虜守 将復何及


実は恥ずかしながらShorinも訳文がなければ自力では読めないのですが (笑)

君子の行(こう)は、静以(もっ)て身を修め、倹以て徳を養う。
澹泊(たんぱく)に非ずんば以って志を明らかにするなし。
寧静(ねいせい)に非ずんば以って遠きを到(きわ)むるなし。
夫(そ)れ学は須(すべから)く静なるべきなり。
才は須く学ぶべきなり。
学に非ずんば以って才を広むるなし。
静に非ずんば以って学を成すなし。
慆慢(とうまん)なれば則(すなわ)ち精(せい)を研(みが)く能(あた)わず。
険躁(けんそう)なれば則ち性を理(おさ)むる能わず。
年、時とともに馳(は)せ、意、歳とともに去り、遂に枯落(こらく)を成す。
窮盧(きゅうろ)に悲嘆(ひたん)するも、将復(はたまた)何ぞ及ばんや。

と読み、日本語訳はだいたい以下のような内容です。 

優れた人は静謐の中に身を修め、倹約をして徳を養う。
無欲の者でなければ、志を明らかにすることが出来ず、
身が安らかでなければ、高い目的を成し遂げることは叶わない。
静謐の中から学ぼうとする意欲が生じ、才能は学ぶことから発揮される。
学ばなければ才能は開花せず、学ぼうとする志しが無ければ物事を悟ることも出来なくなってしまう。
少し知識を付けて傲慢になれば勤勉勤労から遠ざかり、いつも心が険しく騒がしければ自分自身を見失ってしまう。
齢を重ねるに連れて学ぶ意欲も無くなり、次第に落ちぶれて世の中に合わなくなってしまう。
そのときになって、嘆き悲しんでも遅いのだ。

Shorinには一語一語耳から血が出そうな戒めの言葉、これからも肝に銘じて精進を重ねる所存です。 (^ ^)/




今回のお作品も、師匠である 書美院 院長 内野七色 先生のご指導のもと、書かせて頂きました。 慣れない ”隷書” という書体に悪戦苦闘しましたが、先生のアドバイスのおかげでどうにかこうにか出品させて頂きました。 また、年末年始をはさむ製作期間中、大いに激励下さった書美院の諸兄、職場の皆様はじめ会場にお運び下さってご覧頂きました多くのみなさま、本展関係者のみなさまに、 Web上で大変恐縮ながら心から深く御礼申し上げます。 今後もより良いお作品を見ていただけるよう研鑽を積んでまいる所存です。 これからもどうぞよろしくお願いいたします。 

松凛