お軸 「正眼の構え」

今年の初め、お軸を一つ書きました。 いくつかの作品展に出して頂き多くの方がご覧くださいましたのち、先日ようやく手元に戻ってきたお作品です。 

「正眼の構え」 と書いてあります。 ご存知の方もあるかもですが、剣道でいうところの 「中段の構え」 で、Shorinは(剣道の心得は大学時代に授業で経験した程度なのですが)この言葉が大好きなのです。 

攻めるにせよ、守るにせよ、現在ではこの構えが全ての基本となる構えで、ここから様々な状況に即座に対応し移行できる、そのような構えのあり方なのだそうです。 

全体の形が裾広がりになっていますが、実はShorinの職場から東京タワーがきれいに見えて、雨の日も風の日もすっくと動じずに立つ東京タワーのイメージで書きました。 (笑)  

仕事をするにせよ、お稽古をするにせよ、何事にせよ、そのような心持ちでかからねばと、自らに言って聞かせるようにして何度も書くうちに、どこか自分でも気持ちが落ち着いてくるといいますか、心が定まるといいますか、なにか動じない強さを少し得られるような、そのような気持ちにさせてくれたお作品です。 

ただ不思議なことにお軸になってくると、このような静かな文言の中にもさまざまな動線が浮かび上がって、言葉の意味とはまた違った、意外とはやい時間の流れと動きが見え隠れするようで、少しボーイッシュというか、少年ぽく仕上がったかもしれないとも思え、お気に入りの作品になりました。 

このお作品も師匠である内野七色先生のご指導のもと製作させていただきました。 ご指導いただきました先生、また、いくつかの会場に足をお運びいただきましたみなさま、心から深く御礼申し上げます。 これからもより良いお作品を見ていただけるよう精進を重ねる所存でございます。 今後ともご指導、ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。 

松凛