第35回 東京書作展 【受賞作品】 「送元二使安西 ー 王維 」 

第35回 東京書作展 「奨励賞」  を頂きました作品です。 

題材は、中国唐朝の最盛期の詩人、王維(おうい)の作品 「送元二使安西」(元二の安西に使いするを送る) です。 日本でも 「渭城曲(いじょうのきょく)」 としてよく知られた詩なので、ご存知の方もおられるかもしれません。 

安西都護府(あんせいとごふ)」へ帝の使者として西域に旅立つ友人、元二を 「渭城」 の町まで送り、いよいよ関所、 「陽関」 へ向かう日の朝、別れの杯を交わしている、その情景が詠まれたものです。 ちなみに、その護府とは、現在の新疆ウイグル自治区にあったそうです。

この作品の製作にあたっては、まことにわたくしごとではございますが、

若輩者ながらそれなりに、これまで何度か大きな転機があり、その時その時 「新しい道、応援しています。」 と言って見送って下さった方々のことがいつも思い出されました。 月日が経っても、またなかなか会うことがかなわなくても、その方々の言葉を裏切ってはならないという思いは、それからの日々、常に私の中にあって、自分を支えてくれているように感じます。 

この作品は、そのことへの感謝の気持ちを新たにしながら書いたものです。 なにかそのような、しっかりとした、拠り所となる頼もしさが、表現できていればと思います。



 


Web上で大変失礼ながら、望外の入賞にお祝いのメッセージを頂きました皆様、会場でご覧下さいました皆様、本当にありがとうございました。 また今回は、展示会期が平日にあたり、当の本人が見に行けないかも、と案じていたところ、会場にお運びくださったFBお友達のA氏が、とても良い写真を撮ってきてご提供下さり、このブログではその写真を使わせて頂きました。 誠にありがたく、謹んで御礼申し上げます。

最後に、丁寧にご指導頂きました 書美院 内野七色 先生、激励とアドバイスを頂きました書壇の先輩方、ならびに関係諸氏の皆様に心から深く御礼申し上げます。 これからも、少しでも良い作品を見て頂けるよう精進してまいります。 今後ともご指導のほど、どうぞよろしくお願いいたします。  

松凛


追記1: 作品解説です。

「送玄二使安西」

渭城朝雨潤輕塵 客舎青青柳色新
勸君更盡一杯酒 西出陽関無故人
 
渭城の朝雨 軽塵を潤す
客舎青青 柳色新たなり
君に勧む更に尽くせ一杯の酒
西の方陽関を出づれば故人無からん
 
渭城の町は雨もあがって軽い埃を潤し
宿の柳は芽吹いたばかりで青々としている
旅立つ友よ、さあ、もう一杯飲みたまえ
西の方、陽関を出れば、もう知る人もいないのだから


追記2: "作品の大きさってどれくらいなの?" と、時々質問を頂きます。 この作品サイズは 70cm x 205cm で、自分で手を伸ばして届くかどうか、という高さです。 もちろん、書くときは床に置いて書きます。 (^^)/